2025/06/29 11:47
AzuuroとBiancaで採用しているイタリアンレザー。
牛革のクローム鞣しシュリンクレザーの製造について、
Mastrotto社のAuguto氏のお話を伺いました。
少し専門的な話題ですが、興味のある方は是非、ご一読ください。
【工程の流れ】
まずは、一般的な流れとして原皮から不要なタンパク質や脂肪分などの除去を行います。皮の線維構造を解すための準備工程です。
※参照:添付画像
1.Rinverdimento: (浸漬)水洗いして皮の不純物やシワを取り除きます
2.Pressatura: (プレス)余分な水分を取り除き、皮を伸ばします
3.Spaccatura: (背割り)革の表面(銀面)は下部から水平方向に機械で半裁されます
4.Rasatura: (漉き加工)皮の表面全体が均一な厚さになるようシェービングをします
5.Rifilatura:(トリミング)皮の切断、選択、分割を行います
【一番大切なのは鞣(なめ)し】
『鞣し』という言葉をご存知の方は多いと思います。『生皮』⇒『革』に仕上げるのがこの鞣しです。漢字の「鞣」は「革」と「柔」とからなっており、皮を柔らかくするということが、“鞣し”の定義です。
大きな樽の様なドラムと呼ばれるタンク装置などを使用し、皮を鞣し剤などの水溶液とともに温度やpHを調整しながら回転して、皮の線維間に薬品を浸透させ、化学反応をおこさせます。こうして回転させ皮を揉んだりすることで、素材として、熱に強く、腐敗など材質の変化がしにくく、いわゆる「革」にしあげます。
この鞣剤にし応される溶剤ですが「クローム」「植物タンニン』が一般的です。
※参照:添付画像
6.Tintura:(染色/鞣し)皮に柔らかさ、色、安定性(保存期間)を与える重要工程です
7.Asciugatura:(乾燥)鋼板製の特殊装置を使用し、真空吸引により水分を除去します
8.Catena:(調整)室温でコンベアから革を吊り下げてコンディショニングします
9.Palissone:(叩き)機械を使って叩き、革を柔らかくします
【耐久性を高める仕上げ】
鞣し工程のあと、革に様々な風合い特性や色彩、柔軟性を付加する染色、加脂工程、さらに商品価値を高める仕上工程等々があります。
仕上げの工程では傷などを目立たなくし、均一化させ、見た目や風合い、耐久性など、使用目的(製品)にあわせて様々な加工を施します。
アズーロに使用している革ではクローム鞣しを採用、革の表面には特殊な加工を施し、さらに仕上げには水性ラッカーを使用しています。こうした工程をセレクトすることにより、日常のお手入れはほとんど不要、さらに水に強い特性がありますので、雨の季節も安心してお使いいただけます。マストロット社の担当によると水は革の表面を滑って吸収されないような仕上げにしているとのことでした。
さらにシンナーなどの溶剤を含まないため、人にも環境にも配慮された仕上げ方法です。
10.Smerigliatura:(研磨)特殊紙で表面を磨き、光沢を出す(ヌバックとスエード用)
11.Follonaggio:(シュリンク)ドラムで機械的に研磨され、革は縮み、柔らかくする
12.Rifinizione:(仕上げ)輝き、色、外観を与えるトリートメントを施す
13.Stiratura:(アイロンかけ)必要な光沢レベルを確保するために行います
14.Rifilatura:(トリミング)完成品に規則的なエッジがあることを確認する
【天然皮革ならではの風合い】
アズーロで使用している革は部位によってシボが大きかったり深かったりと様々な表情があります。その全てが一点ものであり、天然皮革の個性を楽しめるのがシュリンクレザーの一番の魅力、天然の本革である証です。また、とても丈夫で傷が目立ちにくく、柔軟で特有の感触、多孔性(保温性、吸湿性、放湿性)、耐水性、耐熱性など、見た目の美しさだけでなく、日常使いの素材として、とても扱いやすい革素材なのです。
15.Laboratorio:社内の研究室で国際基準やマストロット社の製造基準等に照らした品質検査を行います
16.Scelta:品質管理の基づき皮革の選別を行います
17.Misurazione:電子機器を使用し計測を行います
18.Magazzino:梱包され出荷の準備が行われます
※お手元のAzzurroとBiancaの革の品質の良さは、その手触りにて感じていただけると思います。
※文中の画像はイタリア、マストロット社のHPより許可を頂いて転載しています。
2024.07.11 Makuake活動レポート記事より

